今日、秋バテ気味の母が「塩くじらを食べると元気になる気がするんだよね」なんて言い出しました。
毎年のことながら、お盆過ぎたあたりから秋になるころになると食べたくなる「塩くじら」
子供の頃に慣れ親しんだ塩くじらの味は、何歳になっても忘れることができない味なのか、福岡の筑豊炭田で生まれ育った70代の母は、汗をかく季節になると思い出したように懐かしがります。
それは生まれも育ちも愛知県の私も同じ
九州から送られてくる塩くじらが当たり前のように食卓に並び、子供たちは細かく裂いてもらったものを「ごはんのお供」にし、叔父たちは「酒の肴」にしていました。
そんな手軽に家族全員で楽しんでいた塩くじらは今ではすっかり高級品となってしまい、食べたいからと言ってホイホイと買えるものではありません。
最近ではネットで購入できるのですが、なかなか慣れ親しんだ塩くじらの味に出会うことができないんですよね。
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地域で違う塩くじらの味
- 福岡で塩くじらと言えば「赤身」の塩漬け
- 長崎で塩くじらと言えば「皮と畝須(うねす)を使った切り畝(きりうね)」の塩漬け
- 佐賀で塩くじらと言えば「塩本皮」の塩漬け
同じ九州でも地域によっては塩くじらもいろいろなんですが、母が慣れ親しんだ塩くじらは「赤身」を塩漬けしたもの
近くのスーパーで九州物産店が開催されているときには「塩くじら」を探してきては焼いて食べるんです。
時には子供のころたべた鯨の味に出会うこともあるようですが、「小さい時に食べた味と違う気がする・・・」そんなことを言い出すこともあります。
それもそのはず、地域によって塩くじらにする部位が違うため味にも違いが出てくるようなんです。
私にとってはどれも美味しい塩くじらですが、懐かしい味にこだわりがある母にとって、微妙な部位の違いは納得できないものがあるようです。
塩くじらの塩抜き方法
九州の炭鉱場で働く男性が塩分やたんぱく質の補給に食べていた塩くじらは、それはそれは塩分が濃い食べ物です。
塩くじらの塊を好みの厚さにスライスして魚焼き器で焼くのですが、黒いクジラ肉が真っ白になるほどの塩分です。
子供のころはこの塩を「しょっぱい、しょっぱい」と言いながら指でこそげ取り舐めていました。
ネットで塩くじらの塩抜き方法と検索すると
- スライスした塩くじらを焼く
- 焼きあがった塩くじらに熱湯をかける
- 塩分が気になる場合はお湯の中でしばらく放置する
塩抜きが終わったら食べるそうですが、我が家の場合、パリパリにした塩くじらが好みのため2の塩抜き後、もう一度魚焼きでさっと焼いて食べます。
叔父たちは塩抜きもせず、塩が噴き出ている塩くじらをチビチビと食べながらビールを飲んでいました。
今みたいにクーラーがない夏、現場の仕事から帰ってきた叔父たちにとっては濃いほどの塩分を体が欲しがっていたんでしょうね。
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疲労回復に効果がある塩くじら
一年中懐かしい味の塩くじらですが、一番食べたくなる季節は夏から秋、体がくたびれだすと食べたくなるころ
塩分が汗をかく季節に恋しいのは理解できますが、鯨の赤身の「バレニン」という成分がは疲労を回復し予防もてくれるんです。
鯨の赤身は
- 高たんぱく質
- 低脂肪
- 低カロリー
そして
- 疲労回復
- 疲労予防
- 体脂肪の燃焼効果を高める
といった効果があるのですから、70代の母が夏バテ秋バテにで食欲が落ちたときに食べたくなるのも納得です。
簡単に食べることができない懐かしい味
夏、土曜のお昼に学校から帰宅すると塩くじらの焼ける匂いがしました。
炊飯器に保温機能はなく、電子レンジもなかった時代
朝炊いた冷えたごはんに細かく刻んだ塩くじら、そこに冷たい麦茶をかけてサラサラとお茶漬けで食べる。
午前で仕事を終えた叔父たちが、焼いて塩で真っ白になった塩くじらをチビチビとつまみながらビールを飲む
そんな懐かしい思い出のある塩くじらも、年々手に入りづらくなり、今ではすっかり珍味
子供がごはんのお供に食べるものではなくなりました。
インターネットを利用して購入するのは簡単ですが、家計を考えると簡単には買えません。
九州に知人がいたころは時々送ってもらっていたのですが、今では親切に送ってくれる方は誰もいなくなってしまいました。
どうしても我慢ができないほど食べたくなった時だけ食べる贅沢な珍味です。